
Livornoを出航して4日目。
デッキに出ると赤茶けた屋根の街の絵巻物が流れていた。
曲がりくねった運河もドラマチックな建物群も初めてなのに
何故か懐かしい。
ここに来るのは生まれた時からの定めだったのだ。

学生時代、題材に困り果て、たまたま床に投げ出されていた
雑誌の特集にヒントを得て安易にリポートを書いた。(笑)
そこに紹介されていたのがヴェネチアンガラスだった。
数十年を経て、ヴェネチアンビーズとの出遭いが
「絶対行く場所」の地図にムラーノ島を載せた。
そのヴェネツィア湾が眼下に繰り広がっている。
幻想的な雰囲気のここヴェネツィア港は自由の女神が迎える
NY港、金門橋をくぐって入るSF港と並んでの美港と思う。
この街は車は入れないため船旅でなくとも海路から入る。
(ちなみに巷で言うところの三大美港はSF、リオ、ナポリだが、
リオは未見、ナポリは空気が悪く印象に残っていない)

二日間のヴェネツィアはフリータイムと決めていた。
船の停泊地からヴァポレット(水上バス)でサンマルコ広場へ。
観光者の合間を縫って足早に、と言うよりほぼ駆け足で
広場を横切る。
ヨーロッパの観光地はなぜこうも人が多いのだろう。

あ"ー ヤダ、ヤダ!
同行の手話通訳が喚いた。
ハトだらけの広場は油断すると上から「雨」が降ってくる。
アメリカではハトはすっかり悪者とされているが、他国では扱いが
違うのか、頭上に、手に乗られても喜びっぱなしの
旅人たちが不可解。
それとも頭を抱えて逃げ回る我ら米国4人組の方がずっと
滑稽なのだろうか。
広場の裏の入り組んだ狭い路地は両脇にびっしりと観光みやげの
店が並んでいるのは日本--例えば浅草--にそっくり。(笑)
雰囲気はもちろん全然違うが。

地図では非常に複雑に見えた路地だが建物の外壁に道しるべが
あり(写真上の黄色い標)、ヴァポレット乗り場が近い
サンマルコ広場の大体の方角さえ飲み込めていれば、迷子に
なる心配はないと判断。
時々視界が開けゴンドラの行き来する運河が現れる。
汚い水でドブのような匂いでもするのかなと想像していたが、
そんなことはなかった。

リアルト橋付近で野菜やハーブのスタンドを発見。
このあたりに魚市場もあるはず。
町外れのジューイッシュ・ゲットー地区を目指すという通訳
カップルと別れ、ローカルな生活臭を求めて路地裏探険に。

美味しいカプチーノが飲みたいな〜♪
求めよ、さらば与えられん。(笑)
言ったそばから橋のすぐ裏にカフェスタンドが現れた。
ドアもテーブルもないオーダーカウンターだけのシンプルな店は
入り口に人がたむろし溜まり場的な雰囲気を醸し出している。
カプチーノを注文し、外壁の丁度いい高さの木の出っ張りに
腰を下ろす。
受け皿付きのちゃんとしたコーヒーカップが嬉しい。
ん〜おいしい〜♪
浮かんでいるハートアートを壊さないように静かに一口頂くと
とたんに目が
になった。船での食事は可もなく不可もないが、コーヒーがどうも
いただけない。
バルセロナを出てからというものずっとおいしいコーヒーを
飲みたいと焦がれ続けていた。
ボーイはもう「そばに住み毎日ここに来る」という青年を捕まえて
同じイタリアンのよしみで(?)親しげに談笑していた。
カフェは思ったとおり溜まり場だった。
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